周年基礎知識

周年事業企画の「ひっくり返り」を防ぐ

 

周年事業の企画をスムーズに進めるための注意点

企画を決定するフェーズでは、それぞれの施策ごとのスケジューリングが必要になります。専門性の高い作業になるため、ここでは周年事業の経験が豊富なコンサルティング会社や制作会社の協力を得るのがお勧めです。
また、周年事業委員会では定例会議を毎月開催し、施策の内容確認や進捗管理、PDCAを回すことが重要です。

周年事業企画が「ひっくり返る」ケースは、事務局長が参加する会議や、社長への進捗報告などの席で起こりがちです。企画フェーズではこうした「ひっくり返り」に十分注意すべきでしょう。周年事業企画のひっくり返りが起きるのは、「こんな企画を実現させたい」というプロジェクトメンバーの思いと、社長の意向や予算との間に齟齬が生じてしまうからです。特に「熱意のこもった企画」である場合に発生しやすいアクシデントといえるでしょう。
目的や内容は違っても、企画をスムーズに進めるには次の4つのポイントを押さえる必要があります。

 

 

企画の目的を明確にする

まずは、その企画を通すことで何が変わるのか、周年事業においてはどんな反響が得られるのか、例えばブランディング浸透のツールになりうるのかといった、企画を実施した場合の見通しとそのメリットをはっきりさせることが大切です。ここが明確でないと、その企画で何を実現したいのかが分からず、「実行する必要がないのでは」と思わせてしまいます。

 

 

企画に根拠を持たせる

次に必要なのが、企画を通すための根拠付けです。
プロジェクトチーム内で決定した企画の実行を、取締役会などで承認してもらうには、取締役を納得させるだけの根拠が必要です。
根拠付けの主な手段には、次の4つがあります。

 

他社事例

すでに周年事業を実施した他社の「話題になった事例」「先進的な事例」などの中から自社の企画に類似しているものを探し出し、参考にします。先方企業の担当者に照会すれば企画の趣旨・経費・費用対効果といった情報も得られるかもしれません。

平均値

周年事業のキャンペーン・イベント関連の企画において、企画提案者の努力目標や「必ずやります」的な言葉には客観性がなく、決裁者の納得は得られないでしょう。
そこで用いたいのが「平均値」による根拠付けです。キャンペーン・イベント関連開催時の各種調査・データなどにより、自社企画に類似したキャンペーン・イベントの反響が分かる数値を取り出し、それを自社企画の目標値の根拠にするのです。例えば「当業界における新製品発表会の平均入場者数は○○人である。当社周年事業という注目度の高さを勘案すると、業界平均〇%増である○○人の入場者が見込める」などと書き添えることで、企画書の説得力を高めることができるでしょう。

アンケート調査

周年事業の企画に関して社内・取引先・顧客などを対象にしたアンケート調査を実施するのも、根拠付けの有効な手段です。調査結果の分析は、企画担当者から抜け落ちていた視点や見落としていた事項の発見にもつながり、企画書のブラッシュアップも期待できます。また、アンケート調査は、周年事業のリアリティ現出を目的とした「周年事業プレ周知活動」にもなる一石二鳥の手段といえるでしょう。

 

 

経費見積もりを付ける

根拠付けの手段の3つ目は、経費見積もりの添付です。企画の実施に必要な経費を詳細に見積もった結果が「周年事業計画書」に計上した予算を超過するようであれば、企画の変更も必要になります。企画書に経費の詳細見積もりが添付されていれば、決裁者の納得度が高まるでしょう。

 

 

根回しを行う

4つ目の手段は根回しです。稟議書と同様、企画書の提出においても根回しが重要です。
準備フェーズにおいては周年事業に対する社長の意向や事業方針などをしっかりヒアリングし、それを形にした稟議書を通しておくこと、企画フェーズでは、適時途中経過の報告を行っていくことも忘れないようにしましょう。

 

 

周年事業企画の「ひっくり返り」防止措置で社内コミュニケーションも活性化する

ひっくり返りを防止するための措置は、予定した企画を通すことだけを優先したものではありません。周年事業においては、社内コミュニケーションの活性化を促すポジティブな側面もあります。
通常事業の企画の場合は、係長、課長、部長、事業部長といった部門内のリーダーの承認で決定が得られます。その過程において部門間の連携は基本的にありません。
一方で周年事業の企画の場合は、部門内のリーダーの承認だけでは決定に至ることはできません。総務部門、人事・労務部門、広報・宣伝部門、営業部門、開発部門、製造部門など周年事業に関わるすべての部門のリーダーの承認を必要とすることで、必然的に部門間連携が強まるのです。
その過程においては修羅場体験の共有、さまざまな部門・年代の社員の連携、社内における共感の醸成、自発的な協力など、数々の「プロジェクトX」が生まれることでしょう。

 

<まとめ>
周年事業の企画づくりには、社員アンケート、社員ヒアリング、ワークショップ開催などの過程を通じて、全社員が何らかの形で関与します。それだけに手間暇がかかり、周年事業実行委員会メンバーの負担は大きなものとなるでしょう。しかし、こういった手間暇のかかるプロセスには、社内コミュニケーションを活性化させる副次的効果があります。極めて重要なフェーズであり、実行委員会メンバーの果たす役割は大きいといえるでしょう。

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