周年基礎知識

周年事業は「会社を変える」絶好のチャンス

 

広がる周年事業の役割

 

「周年事業」と聞くと、式典やイベント開催、社史・記念品の配布などをイメージされる方が多いのではないでしょうか。従来、周年事業といえば社員や取引先などのステークホルダーに対して社業協力への感謝を表す記念行事でした。このため記念講演会や記念懇親パーティーなど、型にはまった行事がその大半を占めていました。しかし、現在では周年事業が果たす役割が広がり、その重要性も増しています。

 

きっかけは、リーマンショック。日本企業の経営基盤の弱さが露呈し、大企業であっても安定した未来が約束されたものでないことを誰もが痛感しました。インナーコミュニケーションなど、社内から経営力を磨き上げていく施策が重要視されるようになり、周年という機会を経営改革に活用する企業が出てきました。これに伴い、周年事業においては1日程度の「記念行事」ではなく、1年以上の期間をかけて集中的に実施する「周年記念施策」が主流になってきました。

 

周年事業は会社を変えるきっかけ

 

企業が生き残るためには、時代のニーズに合わせ変化し続けることが不可欠です。これまで何となく続けてきた「当たり前」の慣習や考え方を「課題」としてとらえ直し、新しいやり方に変えることも必要です。

 

そうした慣習や考え方は “きっかけ”がないと変えることはできません。周年事業は、この“きっかけ”をもたらす絶好の機会といえるでしょう。

それは自社の歴史を振り返る機会であり、社内や社外の人間を周年事業に巻き込める大義名分があり、しかも、社外からの注目度も高く、プロモーションがしやすいのが特長です。つまり、戦略的に周年事業を計画できれば、非常に高い投資対効果をあげることが可能なのです。

 

<コラム>

周年事業の過去と今
周年事業の中身は次のように変わってきています。

従来型の周年事業 新しい周年事業
目的 感謝 経営にとっての重要課題の解決
対象 社員とお客様 目的に応じて多様
主な施策 社史発行、記念式典開催、

記念品配布

ブランディング強化につながる

多様な活動(理念浸透、研修、CSR)

事業期間 1日あるいは1週間程度  1年間、長い企業で3年間
事業の

推進体

経営トップが任命した

特命チーム

社員主体の社内横断型プロジェクトチーム+

外部専門スタッフ

 

<まとめ>

帝国データバンクの『2017年「周年記念企業」実態調査』(2016年11月21日発表)によれば、2017年に10年刻みの周年を迎える「周年企業」は14万5103社に上ります。これら周年企業の多くが、周年をチャンスに新たな企業価値の創出や企業革新を目的にした執念事業を実施するものと見られています。これは、周年事業を実施した数々の事例から、周年事業が経営体質や組織力の強化において極めて効果的である事実が知れ渡ってきたからだといわれています。周年事業は今や、大手企業など一部の企業のみが実施する「特殊な事業」ではなくなっています。

 

 

 

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