リコーグループは、オフィス向け画像機器を中心とした製品とサービス・ソリューション、プロダクションプリンティング、産業用製品、デジタルカメラなどを世界約200の国と地域で提供する企業です。創立から82周年を迎えた2018年2月6日、会社としてはじめて、グローバル全社員を巻き込んだ創立記念イベントを開催。2019年にも実施され、今後も毎年開催予定です。毎年、社員を対象に創立記念日にイベントを展開する意義とは―。初回はサブプロジェクトマネージャー、第2回はプロジェクトマネージャーを務めた担当者様に創立記念イベントにかける想いを伺いました。
株式会社リコー(以下、リコー)は、1936年2月6日、財団法人理化学研究所における発明の工業化を目的とする理化学興業株式会社から独立し、理研感光紙株式会社として設立しました。創業者・市村清が提唱したのが、三愛精神「人を愛し 国を愛し 勤めを愛す」。事業・仕事を通じて、自分、家族、顧客、関係者、社会のすべてを豊かにすることを目指した考えで、全世界のリコーグループ従業員9万人全員が、経営や仕事を行ううえで原点となるものです。
2017年度、代表取締役社長に就任した山下良則社長は、社員のモチベーションアップや一体感の醸成が必要だと考えていました。そこで「原点回帰」「三愛精神」を大切にしたいというメッセージを発信。社員向けに何かできないかと思いついたのが、創立記念イベントでした。
私がプロジェクトにジョインしたのは、イベントまでわずか約4カ月前。スケジュールは非常にタイトでした。
特に苦労したのは、人を巻き込むこと。初回であるため、「創立記念イベント」とは何か、社員は誰も分かっていません。協力を仰ぐために各部門に説明して回るのは大変でした。特に関連会社に対しては、直接一人ひとりに説明することはできません。海外など、物理的に遠くにいる人たちへ伝えるのはプロジェクトメンバー皆、一苦労でした。参加する社員への訴求にも力を入れました。事前プロモーションと当日の運営ではリコーグループの技術、ノウハウも積極的に活用して展開、社員に登場してもらう企画には国内外から700名を超える参加がありました。
また、イベントで上映する映像を制作しましたが、初めてだったため、各社の事例を参考に作成しました。はじめは不安でしたが、完成品が見えてくるにつれ、心に訴えかけるものをつくりたいと徐々に前のめりに。最終的には、「ここの音と字幕が重ならないと…」と細部まで気にするほどになっていました。
初回ということもあり、リコーグループ社員自身でとことんこだわって作りこむべきだ、という考えがもともとプロジェクトメンバーの中にありました。
そして当日、リコーグループ初の創立記念イベントを開催。社長のメッセージから始まり、ゲストスピーカーの基調講演、ゲストと社長、代表社員とのオープンディスカッション、そして創業者・市村清と、第1回目のテーマ“Customer First”の映像を上映しました。イベント中は終始緊張していましたが、閉会後、安心感がどっと押しせました。社員からは「創業者の声を初めて聞いた」「Customer Firstへの理解が深まった」などの声が寄せられました。創立記念イベントの趣旨に理解を示してくれる反応が多かったのが、非常に手ごたえを感じました。“このイベントの企画、開催は社員に任せて口を出さない”スタンスを貫いてくれた社長からは「任せて大成功だった」というお言葉をいただきました。
初回の創立記念イベントでは、準備期間が少なかったため、関係部署への働きかけを十分にできなかったという課題も残りました。また、私たち広報の耳に入るような声は満足度が高いものの、乗り気ではなかった人も一定数いるはずです。次はもっと巻き込んで、全体の満足度を高めていきたいと感じていました。
そして2018年6月、2回目の創立記念日の8か月前、次はプロジェクトマネージャーとして創立記念イベントをやってほしいと言われました。「大変だ!どうしよう」という気持ちもありつつも、前回の経験から楽しみな感情もありました。
少し話がずれますが、私は元々、社内広報がやりたくて広報部門を希望しました。会社をよりよくするためには、1人ひとりが元気に楽しく働くことが必要です。私も過去に仕事が辛くて悩んだことがありましたが、そんなときに支えとなったのが、仲間の存在。同僚や上司がサポートくれたおかげで、楽しく仕事をすることができたのです。その経験から、人とのつながりやコミュニケーション、モチベーションは組織にとって非常に重要だと思うようになりました。そんな私にとって、創立記念イベントの運営は、自分の目指す方向性と合致したものでした。
まずはじめに、テーマの選定からスタートしました。チーム内でブレストを何度もやりましたが、なかなか意見がまとまらず。前年度の担当役員に相談しました。そこで「1年ごとにスポットでテーマを決めるのではなく、何年か先までまとめて決めて、長期的に狙いを達成していったらどうか」とのご提案が。ちょうどリコーグループの日々の判断や活動の基礎となる普遍的な理念である「リコーウェイ」の改訂の時期と重なっていたため、リコーウェイの中の「私たちの価値観」7項目から1つずつ実施していくことに方針が定まりました。そして第1回の「Customer First」に続き第2回は、「Innovation」に決定。これが9月中旬のことです。
その頃に、外部に創立記念イベントについての提案をお願いしました。初年度はスタート時期が遅かったため、外部に依頼する余裕すらありませんでした。今回は時間にも余裕があり、やるからには最高のクオリティで訴求力を高めたいと外部への委託を決めました。1回目の経験から、外部の方が担ったほうが良い部分と社員が担うべき部分が、ある程度明確になっていたからです。
2回目もさまざまな苦労がありました。1回目は前例がない分やりたいようにできた部分もありましたが、2回目は前例もあり、同じレベルだと社員の期待を超えられないし満足もしてくれません。また1回目とはテーマや事前プロモーション、当日のアジェンダも異なるので、社内外の協力区も異なります。説得もまたはじめからです。自分たちの想いを率直に伝え、協力をお願いし、アイデアがないか聞きに回りました。映像については、本数を前回から大幅に増加。それは前回の経験から、映像がエモーショナルに響くという実感があったからです。本数が多い上、海外部門も巻き込んだ企画だったため、スケジュールに関しても非常に苦労しました。
2回目を実施する中で私の軸となったのは、「楽しくやること、そしてかかわった人が楽しんでくれること」。やっているほうが楽しくなければ、見ているほうも楽しくありません。チームメンバーと密接にコミュニケーションを取りながら、全員が楽しめるイベントができるよう、創意工夫を重ねました。迎えた当日は、責任感や不安はあったものの、7カ月もの準備期間で培ったチームワークでカバーしあい、非常に楽しい時間を過ごすことができました。やり終えたあとの達成感は今でも忘れられません。社外も含め、プロジェクトメンバーのチームワークが素晴らしかったことが、無事成功までたどり着けた大きな要因だと思います。それぞれがスキルノウハウを発揮しながら協力補完し合い、モチベーション高く取り組むことがいかに大事か、改めて体感しました。また、プロジェクトマネージャーとして無事遂行できたことは、自分にとっても自信につながる非常によい経験だったと思います。社員からも満足度の高い声が寄せられました。また特徴的だったのが、ほかの部門の社員から、社内の別イベントの今後の参考にさせてもらいたい、自分たちのプロジェクトと連携して進めないかなどと声をかけられたこと。創立記念イベントから社内コミュニケーションの広がりにつなげることができました。
2回の創立記念イベントを終えて、社長からは成功してよかったと伝えられた一方で、「取り残された感のある社員も生き生きできるようにしていきたい」というコメントをいただきました。私自身も課題に感じていた部分です。次回はより多くの社員のみなさんに「参加してよかった」と感じてもらえるやり方を考えていきたいと思います。今後もチームメンバーとともに社内の一体感が生まれるようなしかけづくりを進めていきます。
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