周年事業推進中は、スケジュール決定時に予測できなかった突発的事態や、齟齬の発生、追加案件と予算措置、スケジュール変更など、さまざまなリスクが発生します。これらのリスクを迅速に解決していけなければ、周年事業自体が暗礁に乗り上げる事態を招きかねません。また、スケジュールが遅れた場合は、どこかのフェーズでその遅れを取り戻す必要もあります。
リスクの発生やスケジュールの狂いをいち早く察知し、その都度適切な対策を講じていくには周年事業実行委員会メンバーの情報共有と意見交換、メンバー間の自主的な協力が欠かせません。それを実現するのが周年事業実行委員会の「定例会議(進捗報告会)」といえるでしょう。
定例会議は通常、事務局長と実行委員会のチームリーダーで行う「リーダー会議」と、事務局と実行委員会が合同で行う「全体会議」の2本立てで開催します。
リーダー会議の目的は、「現況を知ること」と「今後の予測」です。
具体的には、周年事業推進の進捗状況と成果を確認し、意見交換を行います。また、リスク発生の恐れがないかなども主要議題の一つです。
全体会議の場合は、リーダー会議の合意・確認事項の周知、今後実行すべき案件に関する情報の共有、問題が発生している場合は、その対策に関する意見交換と決定、対策実施に当たるメンバーの選定などが主要議題になります。
なお、スケジュールの修正については多少であればリーダー会議で決定し、決定事項とその理由をリーダーが統括下のメンバーに伝達します。大幅な修正が必要な場合は、全体会議で検討する必要があるでしょう。
周年事業の内容や社内の状況によっても異なりますが、定例会議は月次開催が一般的です。
上に述べたように、定例会議の目的は周年事業推進に関する忌憚のない意見の交換と情報共有にあります。会議運営にあたっての原則は、以下の4つにすぎません。
一見簡単なようですが、この4つのがないがしろにされていることで、定例会議が形骸化してしまうケースが多いのです。
定例会議が形骸化する主な理由は、会議が「情報共有の場」ではなく「報告の場」になっていることです。
決裁者は前例を参考に稟議書の内容を審査する傾向があります。過去の稟議書を検索し、同様の案件を参照しながら起案するといいでしょう。
繰り返しになりますが、定例会議は「報告の場」ではありません。
情報交換によってリスクや解決すべき課題を見つけ、場合によっては事務局や外部の支援が必要か否かを判断する場にしましょう。
▶Aチームリーダー:成果と目標は会議資料に記載してあるため「読み上げ」は省略。同チームが抱えている問題を共有し、出席者の意見を聞く。
▶事務局長:「Aチームリーダーはこの問題をどのように解決しようと考えているのか」
▶Aチームリーダー:「○○の方法で解決しようと考えている」
▶事務局長:「他の出席者の考えはどうか」
▶Bチームリーダー:「Aチームのスケジュールを見ると、スケジュール表に○○が抜けている。そのことが問題発生の理由ではないか」
▶Aチームリーダー:「気が付かなかった」
▶Cチームリーダー:「Aリーダーが考えている方法では、問題解決には至らないのではないか」
▶Bチームリーダー:「法律的な問題が関っているため、法務部の知恵を借りた方がいいのではないか」
▶事務局長:「この問題については今週中にAチーム、法務部、事務局の三者で別途対策会議を開催し、検討を行う。本会議終了後、スケジュール調整を行う。対策会議の結果は直ちに各チームに報告する」
以上のような会議進行であれば、定例会議は活性化し、出席者にも充実感や達成感があります。PDCAも回り、リーダーたちのモチベーションは高まるでしょう。問題解決に法務部を巻き込むことで、周年事業推進における社内の一体感醸成にもつながります。
「理想にすぎない」と考える読者もいるかもしれません。しかし、費用対効果の高い周年事業に成功した企業の大半は、こういった定例会議を実践してきたのです。
<まとめ>
定例会議の招集、議事録作成などの会議進行は、実行委員会の参謀役ともいえる事務局が担っています。従って定例会議の形骸化を防ぐ「会議運営の4原則」を守れるか否かは事務局の責任者である事務局長の肩にかかっていります。会議運営の4原則を守るための環境を整え、生産的な意見が飛び交う雰囲気をつくるのも事務局長の役割。事務局長の責任は重大です。
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